部分入れ歯と差し歯の違い

部分入れ歯

部分入れ歯と差し歯部分入れ歯は部分的に歯を失った際に補う治療法の1つで、保険適応でできるものから近年では目立たない入れ歯もあります。また部分入れ歯は取り外しが可能です。
よく間違えやすいこととして差し歯がありますが、差し歯は歯根が残っている歯に土台を立ててその上に歯に似せた被せ物であるクラウン(冠)を付けたものです。また差し歯は取り外しが不可能なものになっています。

※部分入れ歯に代わる治療は他にもあります。

ブリッジ

インプラント

入れ歯と差し歯の違い

入れ歯

  • 歯を失っている際での治療
  • 取り外しができる
  • 他の歯にバネなどをかけて固定する装置がある
  • 隣り合った歯と歯茎に負担が大きく、虫歯や歯周病リスクが上がる
  • 面積が大きいので慣れるまで違和感がある
  • 調整ができる
  • 清潔を保ちやすい

差し歯

  • 歯根が残っている際での治療
  • 接着されているため取り外しできない
  • 他の歯への負担がない
  • ほとんど違和感がない
  • 不具合があった場合、作り直す必要がある
  • クラウンの境目などが手入れしにくい

歯根が残っていても差し歯治療ができないケース

歯根が残っていても、その状態によっては差し歯治療が行えず、抜歯と部分入れ歯治療が必要になるケースがあります。たとえば、歯根が折れていたり、ヒビが入っていたりする場合には差し歯を入れることはできません。最悪の場合は、根管治療を行い部分的な入れ歯かインプラント、ブリッジのいずれかでの治療になってしまいます。

部分入れ歯と差し歯の比較

費用と治療期間

部分入れ歯は、保険適用で約5千円~1万3千円、自費では10万円~50万円までとかなり幅広くなっています。素材の違いや失った歯の本数によって変わってきます。型の採取と噛み合わせ決定、完成までに2~5週間ほどかかります。完成後も、不具合があればその都度調整していきます。
差し歯は、保険適用であれば1本3千円~1万円、自費は1本4万円~20万円程度で、素材によって変わってきます。型の採取、土台形成、再度の型の採取、クラウン(冠・被せ物)の合着、完成までは約2~4週間程度です。

違和感

面積が広く、バネで固定するため、部分入れ歯は違和感が大きくなる傾向があります。自費では高度な素材を使用できるため、違和感を抑えたものを作ることもできます。
差し歯は違和感がなく、天然の歯とほとんど変わらない感覚で噛むことができます。

見た目

部分入れ歯には固定するためのバネがありますが、自費で使えるものには白くて目立たないバネを使ったもの、バネ自体がないものもあります。差し歯も、銀歯や劣化や変色を起こしやすい歯科用プラスチックだけでなく、自費で使えるものには白くて透明感があり、天然歯と見分けがつかないクオリティのものがあります。

衛生面

部分入れ歯は簡単に取り外せるため、入れ歯や口内の清潔を保ちやすいという利点を持っています。差し歯は被せものと歯茎の間から虫歯が進行しやすく、磨きにくい場所なので、口内の清潔を保つためには定期的に歯科医院で検診を受ける必要があります。

トラブル

部分入れ歯のトラブルは、バネなどの緩みやきつさなどから起こる痛みが多く、歯科医院での調整で簡単に解消できます。
差し歯で起こるトラブルはクラウン(冠・被せ物)の欠けや外れ、歯根の割れ、境目から広がった虫歯などがあります。こうしたトラブルでは、クラウンを壊して外し、治療してからクラウンや土台を作り直す必要が出てくる可能性もあります。

メンテナンスと寿命

十分な手入れをしていれば部分入れ歯や差し歯は半永久的にお使いいただける可能性がありますが、人間は加齢によって歯茎の厚みが変わってきます。そのため、部分入れ歯は作り直さないと合わなくなることがあります。また差し歯は歯茎の境目から虫歯が進行することがよくありますので、差し歯や土台を壊して治療を行う必要が生じるケースもあります。
部分入れ歯と差し歯を長持ちさせるためには、定期的な歯科検診を受け、虫歯や歯周病を防ぐことが重要です。

差し歯の良さを取り入れた入れ歯 マグネットデンチャー

  • マグネットデンチャー
  • マグネットデンチャー

部分入れ歯と差し歯には、それぞれ違うメリット・デメリットがありますが、部分入れ歯と差し歯のメリットを両方取り入れたものがマグネットデンチャーです。
磁石の力で固定させるため、留め具であるクラスプというバネが必要なく、他の歯に負担をかけることはありません。差し歯と違い、取り外して洗えるため、口腔内の清潔も保ちやすくなっています。

隣の歯への負担がありません

通常の部分入れ歯はバネで隣の歯に装着します。噛む際や、取り外しを行うごとに隣の歯や歯茎にダメージを蓄積させやすいため、虫歯や歯周病リスクが上昇し、日々の丁寧なメンテナンスと定期的な歯科検診を受けないと次々に歯を失う可能性があります。
マグネットデンチャーは、バネによる隣の歯への負担がないため、安心してお使いいただけます。

マグネットデンチャーの条件

マグネットデンチャーは部分入れ歯ですが、基本的には歯根が残っている際に治療が可能になります。また、歯根がない場合には、人口の歯根を歯槽骨に埋入するインプラント治療を行った上でマグネットデンチャー治療が可能になります。

マグネットデンチャーの治療内容

歯根やインプラントに磁性金属を被せ、小型の磁石を埋め込んだマグネットデンチャーを装着します。この磁性金属と磁石がぴったりくっつくため、バネがなくてもしっかり固定できます。歯磨きの際にはご自分で取り外せますので簡単にきれいにできます。

磁気について

マグネットデンチャーに埋め込まれた磁石が発生させている磁気は、口内以外の部分に影響を与えることはありません。そのため、ペースメーカーを使用していても問題なく使用できるとされています。
また、MRIやレントゲン撮影などでも問題がないとされていますが、簡単に取り外せますので念のため外してから検査を受けていただくと安心です。

費用について

マグネットデンチャーは自費診療です。通常の入れ歯の費用に加え、磁石と磁性金属、それを埋め込む費用がかかります。場合によっては、お使いの部分入れ歯に磁石を埋め込むなども可能ですので、ご相談ください。